地獄底箱の特徴と展開図について解説
一言でパッケージといっても用途によってその形状は様々です。代表的な所でいうと【キャラメル箱】【地獄底箱】【ワンタッチ箱】【ふた・身箱】【N式箱】等があげられます。
これらのパッケージの形状は、サイズが同じであれば、見た目はほぼ変わりません。ではなにが違うのでしょうか?今回はそんな数あるパッケージの形状の中から【地獄底箱】に注目していきたいと思います。
地獄底箱の【メリット】【デメリット】・デザイン作成時の注意点等を詳しく解説
地獄底箱は、底面部分の四方を組み上げる形状のパッケージのことを指し、[アメリカンロック][底ロック][インターロック]等と呼ばれる場合もあります。地獄底箱の特徴を簡単に説明すると、キャラメル箱よりも底面が抜けにくく、ワンタッチ箱よりも保管スペースを取らないパッケージとなっていて、用途としては化粧品・お菓子・食品・輸送用等ありとあらゆる場面で使用されている形状となります。
これだけ聞くと、ものすごく良いパッケージに聞こえますが、もちろんデメリットもいくつか存在します。ここでは、地獄底箱の【メリット】【デメリット】をはじめ、箱の組みかたからデザインをはめ込む時の注意点等を詳しく解説していきたいと思います。
地獄底箱の特徴・メリット
地獄底箱のメリットには以下のようなものがあげられます。
【地獄底箱の特徴・メリット】
1-キャラメル箱よりも底面が抜けしにくい
2-キャラメル箱同様に低コストで生産が可能
3-キャラメル箱と比較して底面が膨らみにくい
4-ワンタッチ箱よりも貼れるサイズが多い
5-ワンタッチ貼り・4コーナー貼りと比較すると保管スペースが少なくてすむ
もう少し詳しく確認していきます。
1-キャラメル箱よりも底面が抜けにくい
キャラメル箱の底面は、サイドフラップ2枚と底1面の計3枚で構成されるのに対して、地獄底箱の底面は、底4面で構成され、荷重が各面に分散される他、構造的にも剛性が高くなります。
2-キャラメル箱同様に低コストで生産が可能
地獄底箱は低コストで生産できる代表格のキャラメル箱と同様に、のり貼りの接着面が一か所となるため製造コストを抑えることができます。さらにいうと、地獄底箱はキャラメル箱と比較して、展開面積が小さくなるので、キャラメル箱よりもさらに製造コストを抑えることができる場合もあります。
上記の比較画像を見ていただくとわかる通り、箱を組み上げた時の(縦・横・高さの)サイズは40mm×70mm×100mmですが、展開すると
(左)地獄底箱は234mm×185mmに対して、
(右)キャラメル箱は234×210mmとなっており、
地獄底箱の方が、使用する洋紙面積が少なくて済むことがわかります。
3-キャラメル箱と比較して底面が膨らみにくい
キャラメル箱は一つの面で底面を覆うので、どうしても底が膨らみがちになります。これとは違い地獄底は、4面で底面を覆うので、底面の膨らみを分散、少なくすることができます。小さな違いですが、マチが小さい箱になってくると、陳列のしやすさや、パッケージの安定性が大きく変わる場合があります。
4-ワンタッチ箱よりも貼れるサイズが多い
ワンタッチ箱はその構造上、パッケージサイズに制約が多く、サイズによっては加工できない場合もあります。これは他の箱も同様ですが、ワンタッチ箱と比較すると地獄底箱は機械的な制約が少なく製造できるサイズは多くなっています。
5-ワンタッチ貼り・4コーナー貼りと比較すると保管スペースが少なくてすむ
ワンタッチ貼り・4コーナー貼りの箱はとても組み立てやすいのが特徴ですが、納品形態時の紙の重なり部分が多く反発が強くなる傾向にあります。その為、納品形態時の折りたたんだ状態でもある程度、箱が膨らんでしまいます。これとは違い、地獄底は納品形態時の紙の反発が非常に小さいため、同じ数量の箱でも保管スペースが少なく済みます。
1枚スペースは差ほど変わりませんが、これが数百・数千・数万と増えてくると保管スペースにも大きな差が出てしまいます。
地獄底箱の特徴・デメリット
地獄底箱のでメリットは以下の通りです。
【地獄底箱の特徴・デメリット】
1-底面を組むのに少し時間がかかる
2-底面中心に強い力がかかると底が抜ける
1-底面を組むのに少し時間がかかる
地獄底箱はワンタッチ箱・4コーナー箱と異なり、底面を組み立てる必要があるため、パッケージを組み上げるのにどうしても時間がかかってしまいます。組み立て方・手順については、後述で紹介しています。
同じく底面を組み立てる必要があるキャラメル箱であれば、組み立て作業時間はさほど変わりません。
2-底面中心に強い力がかかると底が抜ける
メリットで「キャラメル箱よりも底面が抜けにくい」と紹介しましたが、あくまでこれはキャラメル箱と比較した時となります。ワンタッチ箱や4コーナー箱と比較するともちろん底面の強度はおちてしまいます。特に、地獄底箱は箱の底面積が大きければ大きいほど底面は抜けやすくなります。
またパッケージに入れる商品にも注意が必要です。地獄底箱は底面の中心が最も強度が弱くなります。そのため球体等の底面中央に荷重がかかるような商品とは相性が悪く、底が抜けやすくなります。
地獄底箱の組み方・手順
地獄底の底面の組み方は以下の手順で行います。
①番の凹部分を一番最初におります。
②番(の2ヶ所)を折り込みます。
③番の凸部分を①番の凹部分に入れて完成です。
ちなみにワンタッチ貼りの場合①~③の手順を短縮することができるため、作業コストを削減することができますが、その反面パッケージ自体のコストは少しUPしてしまいます。そのため、ワンタッチ貼りは比較的、生産数の多いパッケージに適した形状と言えます。
地獄底箱の展開図
縦 40mm×横 70mm×高さ 100mmの地獄底展開図をアップロードしています。ダウンロードしていただき、参考にしていただければと思います。
底面にデザインを入れる場合は隠れてしまう部分を考慮
パッケージの多くは、組み上げることで隠れる部分が出てきます。[のりしろ]や[ふた部分]は比較的わかりやすいと思いますが、[地獄底箱]や[ワンタッチ箱]の底面は、4面が重なるのでやや複雑。
地獄底箱の場合は上の画像のように、箱を組み上げるとピンクの部分が隠れて見えなくなります。パッケージにデザインや表記を入れる際には隠れてしまう部分に注意が必要です。
まとめ
今回は、地獄底箱の【メリット】【デメリット】・デザイン作成時の注意点についてまとめさせていただきました。地獄底箱は化粧箱としてはもちろん、輸送箱やその他業務用にも使用されるとても汎用性の高い形状となります。
いづみ美術印刷では、地獄底箱を含め、数多くのパッケージを製造しています。【無料サンプル・図面作成】のご依頼は、お問合せよりご連絡いただければと思います。